南米ペルーアンデス遠征報告
松尾 治(1期)
ワイワッシュ山脈ハウアコチャ湖(4100m)
1期の松尾です。
報告、大変遅くなりましたが、今夏の九大ワンゲル初の海外遠征の報告します。
南米のペルーの北部のアンデスのブランカ山脈、ワイワッシュ山脈に遠征しました。

期間 ; 2009/6/18 ~7/14 (27日間)
隊員 : 1期 松尾 治(68才) 、2期 高野 和子(65才) 、5期 埜口英昭(62才),
     笹尾 敦子(高野友人66才) 、松沢 節夫(松尾友人70才) 
     5名 平均年令 66.2才

現地スタッフ : 現地の山荘(ベース)のオーナー(日本人)1名、ガイド1名、
ポータ 1名、コック 1名、ロバ使い 1名 計 10 名
今回は登山ではなく、トレッキングが目的でした。

詳細な行動記録は添付ファイル「ANDES行動記録」を参照下さい。


先ず、一番問題の高所馴化ですが、成田を発ったあと、ペルーの首都リマ(標高200m)で2泊、登山基地のワラス市(標高3000m)で2泊、我々のベースの山荘(標高3800m)で2泊、この間も近隣の標高4000m前後の山で馴らし山行を実施することで、高所馴化は順調に達成できました。成田を発って、1週間後の6/24に全員体調が整い、やっと,トレッキングを開始できました。


南北6000kmのアンデス山脈の中でも、景観に優れ、山としての魅力に満ちた、一番人気のある、ブランカ山脈、ワイワッシュ山脈の中の4個のトレッキングコースを踏破しました。どのコースも太平洋側(西側)の標高4000m前後の氷河で侵食された典型的なU字谷の勾配の緩い谷の入り口をスタートして、谷底の美しい湖のそばで幕営し、谷の奥からは、急で険しい山道を辿り、高いアンデスの主稜線(分水嶺)の峠道(標高4500~5000m前後のインカ古道)を越えて、アマゾンの源流(東側)へ下る。この峠越えが、空気が薄くてとても苦しく、辛い登りでした。でも、これらの峠は、素晴らしい展望台で、アンデスの景観を楽しめ、疲れを忘れました。そして下りのアマゾンの源流の谷底で幕営して、谷の入り口からは、迎えのマイクロバスで、逆に車道の高い峠を越えて、ベースの山荘へ戻るパタ-ンでした。
山中で会った多くのパーティは大多数が若い欧米の白人パーティでアジア系にはほとんど会いませんでした。
年令的にも我々が一番高齢のパーティでした。ガイドの三井さんにも九大ワンゲルは凄いとほめられました。
コフップ山荘(3800m)
山荘での歓迎会
ロバに荷物を託して
谷底を行く(4000m) リャマの群れと牧童
サンタクルス谷リャマコラル(3800m) 可哀想な今夜の食材
高い峠(4750m)
最高峰ワスカラン
 南峰(6768m)
 北峰(6656m)

ワンドイ峰(6395m)

シュルップ峰(5495m)


気候は、現地は真冬でしたが、南緯8~10度と赤道に近いため、4000m以上の高地でも、意外と寒くなく、日本の北アルプスの晩秋の3000m程度で、小雪程度の降雪があっただけです。そして、馬、ロバが前提のトレッキングですので、当然ピッケル、アイゼンは不要でした。

好天気とそれに、素晴らしいガイドにも恵まれ、また、全隊員とも驚異的に体調管理と脚力に優れていたため、全員とも計画通りに行動でき、アンデスの素晴らしい大自然を十分に満喫することができました。
また、インカの遺跡、文化も見聞できましたが、ペルーのインディオの人達の非常に貧しい生活も垣間見て、考えさせられました。そして、計画通り全員無事帰国できました。

インカ古道(4700m)
峠の湖(4700m)
全員で押して新雪の峠越えに成功 スンブンヤ峠4750mを下る
頭上のコンドル
アンデスの段々畑 世界的大型の珍花 プーヤライモン

 しかし、帰国直後、現地から、とても悲しい知らせが届きました。それは、我々が現地で大変お世話になった2人、ベースとした山荘のオーナーの三井さん(私と同じ八王子市在住の私の知人)とガイドのクラウデイォの2人が、我々が帰国後、高峰ワスカラン北峰(6655m)に登り、下山中、滑落、クレバスへ墜落即死の悲報でした。現地は厳冬にむかい、深い新雪で捜索は難航し3次捜索で、やっと1ケ月後、遺体が発見、回収されました。

この2人は全員の記念写真の真ん中の黒いシャツの人が三井さん、左端の赤のセータの人がガイドのクラウディオです。一族の大黒柱を失くした、クラウディオ一族のこの先が気にかかります。我々をサポートしたコック、ポータ達もクラウディオの息子、甥達一族で構成されていたのです。
この悲報は我々に大衝撃でした。今でも信じられないくらいです。アンデスの大自然の中の素晴らし旅の思い出に悲しい影が付いた感じがします。
お二人の冥福を祈ります。


珍しく馬上の三井さん
釣りの名人、ガイドのクラウディオ
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