東部ヒマラヤ山脈カンリガルポ山塊遠征
1期 松尾 治
山塊最高峰ルオーニ峰6805m
2008年10月16日〜11月8日(24日間) チベット東部の東部ヒマラヤ山脈のカンリガルポ山塊へ遠征に行ってきました。
目的は、同じ場所に3年前に遠征した時に果たせなかった5300mの未踏峰のピークをスキーによる登頂と、そこからのスキー滑降でした。メンバーは日本山岳会のアルパインスキークラブの2名と私の3名。
全隊員 チベット最大のライグ氷河
10月16日成田を発ち、成都で1泊、ラサで2泊、ラサでガイド1名、コック2名、ドライバー2名を雇い、全隊員8名。ジープ(ランドクルーザ)1台、トラック1台でラサを出発。
3日間、ラサから東方向に約1000km走破してカンリガルポ山麓へ到着。一番心配していた高所順応も全員順調に推移して体調良好で現地入りできた。
標高4100mの登山口の部落でヤク(高地牛)を3頭チャータし、スキー、登山機材をヤクに運ばせ、10月22日いよいよ奥地へ向かう。2日後、氷河に到着。
ヤク(高地牛)連れて奥地へ
最初のキャンプ地 2日後、氷河へ到着
そこからは、3人だけで、スキーにシールをつけ、プラスチックソリに荷を分けて氷河を登高。標高4580mでベースキャンプ設定。
 氷河を登る
ベースキャンプ4580m
翌10月24日は快晴、目的の5300mピークを目指す。しかし、驚いたことには、氷河の状態が、温暖化の影響なのか、3年前の状態から大激変していた。3年前は、スキー滑るには格好の素晴らしい大雪原だった氷河が、一変して、クレバスだらけの荒れた氷河となってしまっていた。その日はクレバス帯の通過がどうしてもできず目的のピークに到達できなかった。
クレバス帯に阻まれる
氷河をすべる 目指す5300mピークに到達できず
その後、4日間吹雪が続き、積雪が1mを越え、テント埋没の危険が生じたため、10月28日下山を決意。テントを掘り出し下山。途中3泊幕営して10月31日、予定通り無事登山口の部落へ下山。
この季節として、予想外の大雪にあい、思うように行動できず、目的を達成できなかったことは残念だったが、標高5000mの氷河での快適なスキー滑降は楽しむことができて満足であった。しかし、この僅か3年間の氷河の変貌ぶりには凄く驚かされた。全世界の氷河もこんなに後退、荒廃しているとしたら大変なことだと痛感させられた遠征でもあった。
ベースキャンプ掘り出し
下山時、助っ人来る
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