日本の野鳥の世界
第52回 夏鳥たち

目次へ

@ アカショウビン
(06.5 白神山地十二湖)
4月から初夏にかけて日本の森は、東南アジアから渡って来て繁殖期を迎えた夏鳥の囀りで、一年で一番にぎやかな季節となります。
HP峠の「日本の野鳥世界」は昨年7月、「アカショウビンの棲む森」と「日本の3大名鳥」から始めました。第52回の最終回はこれらの夏鳥、アカショウビン、キビタキ、コマドリ、オオルリを再度掲載するほか、美しさの増したコルリ、クロツグミ、コサメビタキの計7種の夏鳥を一堂に紹介したいと思います。長い間ご覧頂きありがとうございました。

 
                       画面をクリックすると拡大します
A キビタキ B コマドリ
(05.5 裏磐梯) (06.5 伊香保森林公園)
C オオルリ D コルリ
(06.6 奥多摩・後山林道) (06.5 伊香保森林公園)
E クロツグミ F コサメビタキ
(06.5 伊香保森林公園) (05.5 裏磐梯)
「日本の野鳥世界」を終えるにあたって
12期の古沢衆一君のご協力を得て、2005年の7月からちょうど1年間52回にわたって日本に棲息する野鳥を紹介してきました。この間78種の野鳥を紹介してきましたが、写真のネタもそろそろ切れてきましたので、1周年を機会に「日本の野鳥世界」の連載は終わりにしたいと思います。今後も野鳥の撮影はライフワークとして続けますので、良い写真が撮れたときには「峠」を通じて皆様にお届けしたいと思っています。
最初にお断りしたとおり、私は単に一野鳥愛好家であり撮影技術も未熟ですが、こんなに美しい野鳥が日本で見られることや、身近な公園や田圃にも多くの野鳥が生息していることに、興味を持ってくれる方が一人でもいたとしたら満足です。
一年を通じて観察可能な日本の野鳥は約500種余りです。「日本野鳥の会」の分類によれば、そのうち迷鳥が16%、留鳥が36%、渡り鳥が48%で、日本は渡り鳥が多いばかりでなく、北からも南からも渡って来るという特徴があります。
野鳥は環境の悪化などによって減少の一途ですが、日本は渡り鳥が多いことから、日本の環境を守るだけでは野鳥を守ることが出来ません。シベリアや東南アジアの森林開発などの影響が大きいと言われています。
野鳥が生存するには餌と繁殖場所が必要ですが、いずれも植物に依存しています。森や草原、湿地を守ることが野鳥の保護に繋がります。その最も小さな環境がビオトープであり、コリドー(移動経路)です。
昔の武家屋敷には池や庭木があって、その一軒一軒がビオトープとコリドーの役割を果していました。世界最大の都市といわれた江戸は、東京湾の干潟とあわせて野鳥の多い街でしたが、明治以降の都市化によって武蔵野の森が少なくなり、また埋立事業などで大幅に減少したといわれています。
日本の自然は世界に例を見ないほど美しく、生物の多様性に恵まれた素晴らしいものです。
私はこの素晴らしい日本の自然を、野鳥観察を通じて見守っていきたいと思っています。
峠の「日本の野鳥世界」をご覧になった方から問い合わせや感想のメールを頂き、大変励みになりました。また大変お忙しいなか、毎週末HPを編集・管理していただいた古沢衆一君に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。


                                               平成18年7月 
                                               江頭素樹(3期)                 

目次へ