日本の野鳥の世界
第7回 カイツブリ&バン

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カイツブリの親子(2005.7 千葉県谷津干潟)

カイツブリは潜水が得意な水鳥で、水に潜って魚やザリガニを食べます。足は泳ぎやすいように極端に体の後ろについているので、泳ぎは得意だが歩くのは苦手のようだ。アシ原の水面に浮き巣と呼ばれる水草等で巣を作ります。
六月上旬から下旬かけて湿地帯に行くとこの親子連れによく会います。親鳥が潜って魚等の餌を銜えて水面に上がってくると、雛たちは餌をもらおうと一斉に親鳥を目指して泳ぎ出します。
親は最初にたどり着いた雛に餌を与え、生存競争が繰り広げられます。カイツブリの親子をじっと観察していると、数分に一回このシーンが繰り返され、微笑ましさと生存競争の激しさには飽きることがありません。
写真は2005.6、谷津干潟で撮影したカイツブリの親子です。

早成性の雛―カイツブリ&バンの親子

野鳥の子育てには早成性と晩成性とがあります。
早成性の野鳥とは卵からかえった雛が綿羽に覆われていて、目は開き、歩くことが出来る性質を持っている野鳥です。皆さんが記憶にあるのは皇居前のカルガモや農家の庭先のニワトリ(鶏)の親子でしょう。これらの鳥は生まれた時から親について歩きます。
一方晩成性の鳥とは産まれたばかりの雛は裸で目も開かず、立つことも出来ず、親鳥の保育を受けながら巣立ちを迎える野鳥を言います。スズメやツバメの雛を子供の頃見たことがあると思いますが、多くの小鳥たちは晩成性の野鳥です。
今回は日本で見られる早成性の野鳥の代表として、カイツブリとバンの親子を紹介します
バンの親子(2002.6 埼玉県北本自然観察園)
バンは黒い体に嘴の上の赤い額と脇の白い班が目立ちます。
水面を移動する時に頭を前後に振りながら泳ぐことも大きな特徴でしょう。バンの仲間には他にオオバンがいます。オオバンはバンよりずっと大きく、一部を除いて冬の渡り鳥ですが、バンは留鳥で日本のアシ原で繁殖します。
春から初夏にかけて、アシ原を眺めていると、水面に何処からともなくひょっこり親子が顔を出します。