第32回 初夏の花木(1)

暑い日が続きますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?今回は、初夏(といっても晩春から夏までも含まれていそうですが)の花木をご紹介します。高い木に咲く花は、私のズームもあまり効かないコンパクトデジカメでは撮るのが難しく、今まで何となく避けてきましたが、せっかく美しく咲いていた花をと、精いっぱい撮ったものです。ピンボケもお許しいただいて見てください。最初の「ミネザクラ」と「オオカメノキ」は10期の宮崎さんが、昨年のWV創部45周年記念行事の際、撮影されて提供してくださったものです。宮崎さん、掲載が遅くなり申し訳ありません。ありがとうございました。
栂 池
ミネザクラ」  和名 「嶺桜」
花期 5~7月
バラ科 サクラ属 
樹高 0.5~5m 花径 2~3cm

本州中部以北と北海道に分布し、亜高山帯~高山帯の林縁や林内に生える落葉小高木で、別名をタカネザクラ(高嶺桜)といいます。日本を代表する野生の桜です。サクラといえば春というイメージですが、サクラの仲間の中で最も標高の高いところに生育するこの花は初夏に咲き始め、山に夏を告げます。場所によっては7~8月に開花ということもあるようです。

花は茶褐色の葉と同時に咲き、色は白から濃いめの淡紅紫色までさまざまで、1~3個が散形状につきます。写真は10期の宮崎出雲さんが、栂池で開催された昨年の九大WV創部45周年記念行事の際撮影されたものを提供してくださったものです。派手さはないけれど、小さめの花弁をあまり開かず下向き加減に咲いている姿はとても上品で美しいです。写真には宮崎さんが撮られた栂池の風景写真も掲載しておきます。
オオカメノキ」  和名 「大亀の木」

花期 4~6月
スイカズラ科 ガマズミ属
樹高 2~3m 
花径 直径6~8ミリ両性花を多数つけ、その
    周りの直径2~3cmの装飾花とあわ
    せ、6~14cmの散房花序をつくる。

北海道、本州、四国、九州の山地帯上部から亜高山帯下部に生える落葉小高木。名前の由来は卵円形の葉の形を亀の甲羅に見立てたもの。山を歩いていてちょうど目線の高さに咲いていて印象的です。写真はこれも10期の宮崎さん提供の栂池での写真です。バックの雪山を背景に美しく咲いています。

ウツギ」  和名 「空木」

花期 5~7月
ユキノシタ科 ウツギ属 
樹高 2~3m 花径 1~1.5cm

日本各地の山野にはえ、生垣や庭木としても栽植される落葉低木。名前の由来は茎を折ってみると中が中空になっているから。唱歌の「夏はきぬ」にも歌われているように、古くから庭の垣根としても使われた植物です。純白の花が清楚です。
ヒメウツギ」  和名 「姫空木」

花期 5~6月
ユキノシタ科 ウツギ属 
樹高 1mまで 花径 約1.5cm

本州の関東以西から九州に分布し、日当たりの良い山地の岩場や渓流沿いに生育する落葉低木 。花は白花で、円錐状に小さな花が咲きます。名前の由来は空木(うつぎ)によく似ていて、花のサイズが少し小さいところから 。純白で繊細な花弁が美しい花です
コガクウツギ」 和名「「小額空木」

花期 5~7月
ユキノシタ科 アジサイ属 
樹高 1~1.5m 
花径 8mmの両生花と2~3cm装飾花を合
    わせて 花序を作る

本州の東海地方以西、四国、九州に分布し谷側、湖畔など湿気のある平地などによく自生する落葉低木。

名前の由来はガクウツギより全体に小さいことから。ウツギという名前がついていますが、アジサイの仲間です。装飾花は大きく道の端に咲いていてもよく目立ちます。写真はもう咲き終わりの頃のもので、あまり特徴をとらえていないかもしれません。
ノリウツギ」 和名「糊空木」

花期 7~9月
ユキノシタ科 アジサイ属 
樹高 2~5m 
花径 約4mmの両性花と約4cmの装飾花が
    集まり8~30cmの円錐花序を作る。


北海道から九州に分布し、林縁や草原、岩礫地、湿原にも生育する落葉の低木。名前の由来は、樹液を和紙をすく際の糊に利用したことによる。アジサイの仲間にしては樹高が高く、花も平板上に広がらず大きな円錐状になるのが特徴です。初夏の山沿いの県道など走っていると、伸びやかに枝を伸ばして咲いていてよく目につきます。
ニシキウツギ」 和名「二色空木」

花期 6~7月
スイカズラ科 タニウツギ属 
樹高 約5m 花径 約3cm

本州中部の太平洋側から中国地方・四国・九州の太平洋側の山地の日当たりの良い林縁に生育する落葉小高木。同じウツギと名がつきますが、前出の4種とは別の科に属します。茎の中が空洞になっている点は共通しています。ロート状の花が、咲きはじめは淡黄白色、だんだん紅色に色付き、やがて暗紅色に変化していきます。名前の由来は、一つの木に赤と白の花が同時に咲くことから。写真は黒岳に行く途中、赤と白の花が咲いているので不思議に思って車を停めて写したものです。
ツクバネウツギ」 和名「衝羽根空木」

花期 5~6月
スイカズラ科 ツクバネウツギ属 
樹高 1~2m 花径 2~3cm

本州、四国、九州の丘陵帯から山地帯に生育する落葉低木。名前の由来は、果実が先端にプロペラのような萼片を残し、衝羽根に似ていることから。5月終りから6月にかけて、九重の山のあちこちに見られます。写真で花の付け根の赤茶色の萼片が見えるでしょうか。
ドウダンツツジ」 
和名「灯台躑躅」または「満天星躑躅」


花期 4~6月 
ツツジ科 ドウダンツツジ属 
樹高 1~3m 花径 6~8mm

山地の岩の上などに成育する落葉低木。花や紅葉が美しく丈夫で育てやすいので庭や公園にも植樹されています。名前の由来は、宮中で使う結び灯台に似ていることから灯台→ドウダンとなった説があります。スズランのように可憐な釣り鐘状の花を多数咲かせる落葉性の花木です。咲く時期は、初夏というより春の方がぴったりくると思いましたが、、、、。
シロドウダン」 
和名「白満天星」または「白灯台」


花期 5~6月
ツツジ科 ドウダンツツジ属 
樹高 約2m 
花径 6~8cmの花が集まって総状花序を
    作る


本州(関東地方以西)、四国、九州の山地の岩の多い林内や草原などに生育する落葉低木。枝先から長さ1.5㎝の総状花序が垂れ下がり、白緑色の花を5~12個つける。花は長さ6~8㎜の鐘形、先は浅く5裂し、さらに細かく切れ込む。私ははじめ、ドウダンツツジとシロドウダンは同じものと思っていたのですが、花の形が違いました。シロドウダンの花は先の切れ込みが特徴的で区別できます。
ベニドウダン」 和名「紅灯台」

花期 5~6月
ツツジ科 ドウダンツツジ属 
樹高 2~4m 花径 3~8mm

本ダンの赤色種ということから。ミヤマキリシマが咲くころ九重の山に登るとたいていの山にはこの可愛い花を見ることができます。色も濃い赤から柔らかいピンクまでさまざまです。大きな木になって花をびっしりとつけている様子は葉緑をバックに見事です。
ツクシドウダン」 和名「筑紫灯台」 

花期 6~7月
ツツジ科 ドウダンツツジ属 
樹高 約4m 花径 1~1.5cm)

九州に分布し、深山に生育する落葉低木。
近畿以西の本州、四国、九州の山地の岩尾根に生育する落葉低木。シロドウダンやベニドウダンに比べると花の裾が開いていて、小さな切れ込みがなく5つにわかれています。花の色も薄いピンクから濃いものなどさまざまです。この花もミヤマキリシマガ咲くころ九重のあちこちで見られます。似た種に「サラサドウダン」というのがありますが、九州に咲くということで「ツクシドウダン」と云われるのでしょうか。

「タンナサワフタギ」 和名「耽羅沢蓋木」

花期 6月
ハイノキ科 ハイノキ属 
樹高 3~4m 
花径 6~7mmの小さな花を多数円錐花序に
    つける

関東以西の本州、四国、九州の丘陵帯から山地の落葉樹林内や林縁に生育する落葉低木。房状の円錐花序に多数の白い花をつけ、そのおしべも白く数が多く、しかも花弁より長く出ているので、満開の時は柔らかなベールで覆われているように美しい花です。名前の由来は発見地が済州島(古名をタンナという)あることからと、沢をふさぐように咲くことからと云われています。
栂 池
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