第26回 今春感動の2種
天候不順な毎日ですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?今回は、今年の春に出会い感動した「カタクリ」と「アケボノツツジ」の2種をご紹介します。「カタクリ」は歩っ歩倶楽部で登った山口県の「寂地山」で、「アケボノツツジ」は宮崎県の「大崩山」で見たものです。足元にそっと咲く小さな花と、大木となって大空いっぱい咲く花の2つをお楽しみください。
カタクリ」  和名 「片栗」
花期 3~5月
ユリ科 カタクリ属 
草丈 10~20cm 花径 4~5cm

比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生する多年草。名前の由来は、カタクリの花が「傾(かたむ)いた籠状(かごじょう)の花」の意味から「カタカゴ」とよばれ、この「カタカゴ」が「カタコ」→「カタコユリ」→「カタクリ」になったという説と、カタクリの葉の形が栗の子葉に似ていることから「片栗」となったという2つの説があります。

スプリンエフェメラルの典型ともいえる花です。早春の雪解けと同時に花を咲かせ、若葉が開くころには花期を終え、初夏には地上部はなくなり、残りの10ヶ月間は土中生活を送ります。
今年の春の歩っ歩倶楽部の合宿で、冬は豪雪地帯となる中国山系の寂地山へ案内していただき、初めて自生するカタクリを見ることができ感動しました。

今まで、野草園や庭で栽培しているのは見たことがありましたが、やはり山に登って頂上近くで見る花はまた格別の思いがありました。登りではまだ花弁が十分開いていないものが多く、まだちょっと時期が早いのかなと思っていましたが、下りでは午後の温かい日差しを浴びて、バレリーナのように花弁を反らして可憐に咲いていました。
ブナ林の登山道
アケボノツツジ」  和名 「曙躑躅」

花期 4月下旬~5月上旬
ツツジ科 ツツジ属 
樹高 3~5m 花径 4~5cm

日当たりのよい標高1,000m以上の山地に生える落葉低木です。名の由来は、淡いピンクの花の色を「曙」の空の色にたとえたものです。

アケボノツツジは今までにも、夏木山や市房山で見たことはありましたが、今回の大崩山ほどの満開は初めてでした。杉林を登りきって、スズタケと自然林の尾根道に出ると、登山道がピンクのトンネルのようになるほどのアケボノツツジの群落です。ツツジというには樹高が高く、見上げると、まだ葉が芽を出していない枝を躍動しているようにいっぱいに広げ、ぽぁ、ぽぁっと青空を覆いつくすようにピンクの花をちりばめて咲く様は夢のようです。
遠目に山肌がピンクに染まっているのを見るのも、間近く大輪の花を見るのもどちらもわくわく楽しいものです。

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