第24回 由布岳周辺の春の花(2)
由布岳周辺の春の花の2回目です。
エヒメアヤメ」  和名 「愛媛菖蒲」

花期 4~5月
アヤメ科 アヤメ属 
草丈 10~15cm 花径 約4cm

中国、四国、九州のごく限られた地域の低い丘陵の南面の乾燥した草木の中に点々と混生して生育します。名前のいわれは愛媛県で早くから知られていたことから。

別名タレユエソウ(誰のためにこんなにきれいに咲くの?)というロマンティックな名前も持っています。由布岳の黄スミレの群生する中やサクラソウの咲く草原に鮮やかな青色が点在していて目立ちます。アヤメというには余りに丈が小さくて可愛い花です。
ヒメハギ」  和名 「姫萩」

花期 4~7月
ヒメハギ科 ヒメハギ属 
草丈 10~25cm 花径 1~1.5cm

日当たりのよい山野に生育する多年草。名前のいわれは、紅紫色の花が萩に似ていて小さいため。2枚の萼片を鳥の羽を広げたように開き、筒状の花の先が房状のフリンジのようになっている姿がとても可愛い花です。オキナグサを見に行った牧場の草の間に咲いていました。
ニリンソウ」  和名 「二輪草」

花期 4~5月
キンポウゲ イチリンソウ属 
草丈 15~25cm 花径 約2cm

山麓の林の縁や林の中,竹林,土手などに生える多年草。

名前のいわれは一本の茎から普通二本の花茎を伸ばすことから。花はイチリンソウより一回り小さく、はじめに花をひとつ付け、遅れて茎のつけねからもう一つ茎をのばしてもう一つの花を付けます。


後の花が先の花にそっと寄り添っているようすが何とも言えない魅力です。3輪咲くものもあるようですがそれでもニリンソウです。
ワダソウ」  和名 「和田草」

花期 4~5月
ナデシコ科 ワチガイソウ属 
草丈 10~15cm 花径 1~1.5cm

山地の草間に生える小型の多年草。名前のいわれは長野県の和田峠に多いことから。花びらの先が桜のようにハート型にくびれていて可愛い花です。雄しべの葯の色が赤くてよいアクセントになっています。

由布岳のふもとの草原にあるというので歩いてみましたが、見つけられず、倉木山の麓の草原に行くとイチリンソウやニリンソウと一緒にたくさん咲いていました。
キジムシロ」  和名 「雉筵」

花期 4~5月
バラ科 キジムシロ属 
草丈 5~30cm 花径 1~1.5cm

山野の草地に生える多年草。名前のいわれは円形に広がった株を、キジの座る筵に見立てたため。


倉木山登山口近くの草はらに、ロゼット状に赤みをおびた茎をのばして広がり先に可愛い5弁の花を咲かせていました。あかるい日差しが好きな花のようです。同じころに咲く「ミツバツチグリ」とよく似ていますが、名前の通り「ミツバツチグリ」は葉が3枚、「キジムシロ」は葉が3、5、7枚と奇数個付きます。
ムラサキケマン」 和名「「紫華鬘」

花期 4~6月
ケシ科 キケマン属 
草丈 20~50cm  花径 1.2~2cm

平地や山麓の日陰のやや湿った所に生える2年草です。華鬘とは仏殿の欄間などを飾る仏具のことで花の形が似ていることから名付けられたのでしょうか?どこでも見られる花ですが、近づいてよく見ると、花の先だけが紫色で、とてもしなやかな美しい花です。


ヤマエンゴサク」 和名「山延胡索」

花期 4~5月
ケシ科 キケマン属 
草丈 10~20cm 花径 1.5~2.5cm

山地の落葉樹林の下や草原に生える多年草。サクラソウを見に由布岳を訪ねたときサクラソウの間にかなり咲いていました。地味ななんでもない花と思いましたが、カメラを通して間近に見てみると、ブルーの色の濃淡が柔らかく清楚で上品な花です。見直してサクラソウそっちのけで何枚も撮ってしまいました。
フウロケマン」 和名「風露華鬘」

花期 4~7月
ケシ科 キケマン属 
草丈 15~50cm 花径 1.8~2cm

山地や低地の日当たりのよい草地に生える2年草。少し緑みをおびて透明感のある鮮やかな黄色が遠目にも目立ちます。切れ込みの深い葉と赤い茎が特徴的です。畑の周りの矩面に咲いていました。

ウスバサイシン」 和名「薄葉細辛」

花期 3~5月
ウマノスズクサ科 カンアオイ属(ウスバサイシン属とも)
草丈 5~10cm 花径 1~2cm

山地のやや湿った林の中に生える多年草。地を這う茎から出た2枚の大きな葉の間の地表近くに暗褐色の花を咲かせます。

カンアオイと同じ仲間ですが、花が地上に出ていて、形が整っており、花という感じがします。冬には枯れる葉は柔らかく、斑入り模様はありません。和名は葉が薄いことから「薄葉」、細くて辛い根を乾燥させたものを生薬「細辛」というところから来ています。倉木山に登った時、道々たくさん咲いていました。

アケビ」 和名「木通」

花期 4~5月
アケビ科 アケビ属 
木丈 蔓状  
花径 雄花は1~1.6cm、
    雌花は2.5~3cm


日当たりのよい野山にふつうに自生する雌雄同株の落葉蔓生木本。名前のいわれは実が熟して割れた様を「あくび」→「アケビ」、あるいは「開け実」→「アケビ」となったといわれています。
花は雌雄異花で、3枚の花被(萼片)が開くと、雌花は6~9本の棒状の雌しべが放射状につき、雄花は房状のおしべが6本付きます。雌花の方が見てすぐわかるほどに大きく垂れ下がっています。春に山道を走っているといろいろな色の花が、ほかの木に巻きついた蔓から下がっていて気になります。秋には大きな実になり、白くてほんのり甘いゼリー状の果肉が、昔から山歩きの子供のいいおやつでした。アケビには、アケビ、ミツバアケビ、ゴヨウアケビとあるそうですが、葉などきちんと撮影していないので、区別できませんでした。
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