第23回 由布岳周辺の春の花(1)
皆様お元気ですか?木々の新芽がそれぞれ個性的な色を出して緑、黄緑、黄色、赤茶色と素晴らしいグラデュエーションを作って山々を飾っています。1年で1番気候のよい時ですね。今回は由布岳周辺の春の花をご紹介します。由布山麓、倉木山、塚原高原あたりの花々です。
キスミレ」  和名 「黄菫」

花期 3~4月
スミレ科 スミレ属
草丈 10~15cm 花径 1.5~2cm

山地の明るく乾燥気味の草地、林縁。よく霧のかかる夏が冷涼な高原に多い。由布岳の山麓は春の野焼きが終わると、まず1番に咲き出すキスミレで一面覆われ、山歩きをする人の目を楽しませてくれます。

菫の中では花弁が大きく鮮や かな黄色で、本州では珍しいので、遠方から来た登山者は感激するようです。由布岳の裾野、手前の飯盛ヶ城、倉木山の麓の山肌は4月のはじめ頃、黄色一色です。
オキナグサ」  和名 「翁草」

花期 4~5月
キンポウゲ科 オキナグサ属 
草丈 10~20cm(花後40cmほどになる) 
花径 2~3cm

日当たりのよい草地に生育する多年草。鐘形の花は、はじめ下向きに咲きますが、やがて上向きになります。花の外側や葉や花茎も白毛に覆われ、全体的に白い毛で覆われたような印象を受けます。名前のいわれは、果実に白い長い毛がありこれを白髪の翁に見立てたものです。

牧場では、牛はほかの草は食みますが、オキナグサは毒草なので本能的にかぎ分けられて残され、次々に種がこぼれて数が増え、株も大きくなって群生します。安心院や塚原の牧場に由布岳をバックに咲くオキナグサを見に毎年訪れます。うつむきに咲く暗赤色の花も、翁の髭になって風にそよぐ様もとても風情があって大好きな花です。
サクラソウ」  和名 「桜草」

花期 4~5月
サクラソウ科サクラソウ属 
草丈 15~40cm 花径 2~2.5cm

明るく湿った草地を好み、低地の河川敷や山麓の疎林下などに自生する多年草。数年前に由布岳の登山口近くに群生しているよと、5期の鶴元さんに教えてもらって以来、毎年その優しい花を見に出かけます。最盛期のピンクの絨毯は見事で、知らずに車で通りがかる人も思わずなんだろうと停まるほどです。

日本原産の桜草ですが、今、低湿地や河川敷の開発、園芸採取などにより自生地が少なくなっています。ここも悲しいことに、最近は踏まれたり盗掘されたりで株が少なくなったため、環境省の保護下に置かれ、ロープが張られています。名の由来は、花びらの先端が2つに割れ、サクラの花びらに似ていることによるものだそうです。いつまでも花が見られるようにマナーを守ってもらいたいものです。
ヒトリシズカ」  和名 「一人静」

花期 4~5月
センリョウ科 センリョウ属 
草丈 20~30cm 花径 2.5~3cm

林の中や湿った木陰に生える多年草。名前のいわれは花が咲く姿を静御前が舞う姿に喩えたということです。白い花のように見える部分は雄しべの集まりです。

艶のある美しい4枚の葉に抱かれるように咲く姿は、名前のように優雅な趣があります。由布岳を捲いて塚原に向かう途中、山腹のヤマザクラをゆっくり見ようと、たまたま停まった道沿いの林の中に群れて咲いていました。
イチリンソウ」  和名 「一輪草」

花期 4~5月
キンポウゲ科 イチリンソウ属 
草丈 10~30cm 花径 3~4cm

山麓の草地や落葉樹林の中、輪和沿いに生育する多年草。花が茎の先に一輪つくのでこの名があります。上から見ると白い花ですが花弁の裏は淡い赤紫色があり、優しく清楚な花です。倉木山のふもとの草原に咲いていました。

バイカイカリソウ」 和名「「梅花碇(錨)草」

花期 4~5月
メギ科 イカリソウ属 
草丈 10~30cm 花径 10~12mm

山麓、樹林下、道路端、などに生育する多年草。名前のいわれはイカリソウの仲間で花が梅の花に似ていることからということです。花茎の先に白い花を下向きにつけ、細くてかよわい茎に透明感のある小さな花をひっそりと咲かせます。


野焼きの草原の焼け残ったススキの間にあると、気がつかず踏みつけてしまいそうです。花に比べて葉は大きくて緑色だったり褐色だったりします。由布岳の麓の草原に咲いていました。
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