第22回 早春の花(3)
早春の花の3回目です。見落としそうになる小さな可愛い花が中心です。
アマナ」  和名 「甘菜」

花期 3~4月
ユリ科 アマナ属 
草丈 15~20cm 花径 2~2.5cm

日当たりのよい草地、田畑のあぜ、林の縁などに生育する多年草。日本産のチューリップの原種と云われています。名前の由来は地中の鱗茎が食用になり甘みがあることからといわれています。
花弁は日が当たっているときだけ上を向いて開き、夕方や曇や雨の日には蕾のように閉じてうつむきます。花を開いたりすぼめたりして数日咲きます。白い花ですが外側に暗紫色のすじがあり、すぼめた姿には上品な趣があります。
センボンヤリ」  和名 「千本槍」

花期 3~4月
キク科 センボンヤリ属 
草丈 5~15cm(春花期) 花径 1.5cm

山地や丘陵の日当たりのよい乾いた草地などに生える多年草。春先の草原を歩いていると小さな可愛い花がそこここに咲いています。白い花の裏はきれいな赤紫色なのですが、あまりに草丈が低いのでよく見ないとただ白い花としか見えません。

秋には50~60cmほどの茎をいくつも伸ばして、先に花が開かない閉鎖花をつけ、その姿が大名行列の毛槍に似ているのでこの名があります。
ヒメウズ」  和名 「姫烏頭」

花期 3~5月
キンポウゲ科 ヒメウズ属 
草丈 15~30cm  花径4~5mm

路傍や畑の畦、林縁などに生育する多年草。名前のいわれは。花が鳥の烏の頭に似ているからといわれますが、定かではありません。
これほど小さい花は他にないといえるほど小さくて目立たない花ですが、しなやかに立つ姿には、ほかの山野草に引けをとらない清楚な上品さがあります。葉もオダマキに似ていて美しい形です。こんな花を撮るとき、コンパクトカメラと自分の腕の限界をつくづくと感じます。
ネコノメソウ」  和名 「猫の目草」

花期 3~5月
ユキノシタ科 属 
草丈 5~20cm 花径 約2mm

山地の湿地などに生える多年草です。花には花弁がなく、黄色い花びらのように見えるのは葉の変化したものです。名前の由来は果実が出来ると2つに裂けて種が見え、それが猫の細い瞳孔のように見えるところからだそうです。
フラサバソウ」  和名 「フラサバ草」

花期 4~5月
ゴマノハグサ科 クワガタソウ属 
草丈 10~30cm 花径 3~4mm

畑や道ばたなどに生育するユーラシア原産の2年草。オオイヌフグリに似ていますが、花の大きさがかなり小さめです。同じくオオイヌフグリに似て花が小さいイヌフグリはピンクがかった花です。


この花は、萼や茎、葉に毛が目立つので、小さいながら全体にふっくらした感じがします。名前の由来は、幕末から明治に日本の植物を研究したフランスの植物学者フランシェとサバチェが初めて記録したことから名付けられたということです。
カキドオシ」 和名「「垣通し」

花期 3~5月
シソ科 カキドオシ属 
草丈 5~25cm 花径 1.5~2.5cm

日の当たる路傍や山野に自生するつる性の多年草。名前の由来は花が終わったあとに、茎が蔓状に長く伸びて、垣根を通り抜けることから。春先、畑や田圃の脇の道に何気なく咲いています。


花はシソ科特有の唇形で、下唇には紅紫色の斑点があります。花の色は紫、薄紫、少しピンクがかったものなどいろいろあるそうです。
キランソウ」 
和名「紫藍草」あるいは「金襴草」「金瘡草」


花期 3~5月
シソ科 キランソウ属 
草丈 5~15cm直立せず地を這う 
花径 1~2cm

日当たりのよい山麓や道端、石垣、人里などに生育する多年草。名前の由来は、紫の古語である「き」と、藍色の「藍」ランの字が重なったと言われます。早春に地面にへばりつくように広がって咲いています。濃い紫色が印象的です。
オドリコソウ」 和名「踊り子草」

花期 3~6月
シソ科 オドリコソウ属 
草丈 30~60cm 
花径 3~4cmの花を輪状につける

路傍や山裾・竹林・河川などに生育する多年草。名前の由来は、花の形が笠をかぶった踊り子の姿を思わせることからだそうです。山道より少し低く引っ込んだ草むらに群生していました。
アセビ」 和名「馬酔木」

花期 3~5月
ツツジ科 アセビ属
樹高 2~7m 
花径 0.7~1cmの花を房状につけて花穂を作る

山地に生える、ツツジ科の常緑低木です 。早春に久住の山々の至る所でスズランのような釣鐘型の花をつけて、よい香りを漂わせます。

名前のいわれは、馬が食べると体がしびれ酔ったようになるところから、「馬酔木」と当て字で名づけられ、人が誤ってこれを食べると、足がしびれることから、アシシビレが略され「アシビ」→「アセビ」となったといわれています。
レンゲソウ」 和名「蓮華草」

花期 4~6月
マメ科 ゲンゲ属 
草丈 10~30cm 
花径 1.2~1.4cmの蝶形花を10個ほど車輪状につける


水田のあぜ道や道ばたなどに生育する2年草。昔は水田の緑肥として、近年は休耕田で家畜の飼料や蜂蜜採集用に栽培されています。

最近は見掛けることが少なくなり、郷愁を感じる花です。名前のいわれは花の形が蓮の花に似ていることからだそうです。
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