第20回 早春の花(1)
皆様お元気ですか?3月になってもまだまだ寒く、こちら大分でも、少し山間部に入ると雪の日がたびたびです。そんな中でも、春を告げる花たちが咲き始めています。今回はそんな春1番の花をご紹介します。山の花はまだ雪に埋もれていて、もうちょっと先のようですので、道ばたや田んぼのあぜ道に咲く花が中心です。

フクジュソウ」  和名 「福寿草」

花期 3~4月
キンポウゲ科 フクジュソウ属 
草丈 15~30cm 花径 3~4cm

北海道から九州にかけて分布し落葉樹林の林下や林縁に生育する多年草。春1番の花といえばフクジュソウ。

久住にある山草園に咲いているというので、3月になってすぐ出かけてきました。雪の中から顔を出している様子を見たかったのですが、残念ながらその日雪は解けていました。まだまだ蕾の多い中、太陽を浴びて眩しいほどの黄金色の花を全開にしているものもありました。
オオイヌフグリ」  和名 「大犬陰嚢」

花期 3~5月
ゴマノハグサ科 クワガタソウ属  
草丈 茎は根元から横に広がり10~30cm 
花径 7~10mm

畑、路傍に生える越年草。明治時代に日本に入ってきて帰化した植物ですが、今では、道ばたやあぜ道などに群れて咲き、寒くても春が近いよと告げてくれます。

ちょっとかわいそうな和名ですが、在来種のイヌフグリの可愛い実が犬の陰嚢に似ていることから来ていて、イヌフグリの大きい種類ということでそのまま「大」をつけて名づけられたそうです。花は10mmにも満たないくらい小さいのですが、よく見ると2本のおしべが可愛く、1つ1つ繊細だけれどしっかりしています。別名は「星の瞳」、「Bird's-Eye」、「Cat's-Eye」ともいうそうで、そのほうが似合ってますね。
ホトケノザ」  和名 「仏の座」

花期 3~6月
シソ科 オドリコソウ属 
草丈 10~30cm 花径 1.7~2cm

道端や田畑のあぜなどによく見られる越年草です。名前のいわれは、葉が仏さまの蓮座に似ているからということです。

オオイヌフグリと一緒に道ばたや田圃のあぜ道に群れて咲いて春の訪れを告げてくれます。シソ科の植物に特有な唇形をした花の先の紫の斑点がとても愛嬌のある花です。春の七草にあげられる「ホトケノザ」はキク科の「ホトケノザ」で別名「コオニタビラコ」と言い、色も形も全くべつもので、このシソ科のホトケノザは食用には適さないそうです。
ナズナ」  和名 「薺」

花期 2~6月
アブラナ科 ナズナ属 
草丈 20~40cm 
花径 3mmほどの花を多数花穂につける

畑や水田、道端、荒れ地などに普通に見られる1年草。名前のいわれは夏になると枯れること、つまり夏無(なつな)からとか、撫でたいほどかわいい花の意味、撫菜(なでな)からなど、諸説あるそうです。

上からみると花火のようにきれいな花です。ペンペングサとも呼ばれますが、果実の形が三味線のバチに似ているためといわれています。子供のころ、実の付け根を少しそーっと下にして、茎をくるくる回してしゃらしゃらいう音を楽しんだものです。これは本当の春の七草 です。
ナノハナ」 和名「「菜の花」

花期 ~月
科 属 
草丈 ~cm 花径 ~cm

田んぼのあぜ道や土手などに自生する一、二年草。「ナノハナ」には、「食用に出来る葉や茎」という意味があり、春に小さく黄色い花をたくさんつけている、アブラナ、コマツナ、ハクサイ、カブラ、キョウナ等の植物の総称ですが、普通、「ナノハナ」として私達が目にする花は、アブラナという植物です。

一輪一輪を見ても4弁の小花がすっきりと美しい。畑や河原に群生して黄色の絨毯のように見える様は、昔懐かしさを感じさせてくれます。
フキノトウ」 和名「蕗の薹」

花期 3~5月
キク科 フキ属 
草丈 5~10cm(開花期) 
花径 小さな花が集まって頭花を作ります。

フキの茎は地上で伸びるのではなく地下茎となっていて、早春、葉よりまえに花茎がでますが、これを蕗の薹(フキノトウ)と呼んでいます。

その姿に春の訪れを感じますが、姿とともに、野趣あふれるその香りと苦みで早春の食卓を豊かなものにしてくれます。花は白いものがほとんどですが、紅色の花冠をもつ「ベニブキ」もあります。花のあと、葉が伸びてきますが、その葉柄がいわゆる「フキ」で、これもまた、日本人に親しまれている春の味覚です。
ヤブツバキ」 和名「薮椿」

花期 2~4月
ツバキ科 ツバキ属 
樹高 6~18m 
花径 5~7cm

常緑広葉樹林に多く生育する常緑広葉樹です。ヤブツバキはユキツバキとともに、日本でのツバキの自生種で、この2種類をもとに、交配改良が進められ、現在では 6,000品種を超えるツバキがあると言われています。

冬の終わりからまだ春浅い、花の少ない時期に咲く深紅の花は、古来から日本人に愛されてきました。樹林地帯の道を歩いていると、清楚な姿のままの花が落ちているので上を見るとヤブツバキが咲いています。華やかな園芸種に比べ、一重で花弁は大きく開かず清楚で、落ちている花にも、咲いている花にも風情を感じます。
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