第19回 利尻・礼文の花(5)
今回で利尻・礼文の花を終わります。花の島利尻・礼文、特に礼文島は最高峰の礼文岳でも海抜490mで、250mそこそこの丘にも、本州では高山にしか生育しない花が咲き乱れます。花を眺め、海を見下ろしながらのトレッキングは最高でした。気ままな3泊4日の旅でしたが、まだまだ見つくせません。いつかまたゆっくり歩いてみたいと思います。

イブキトラノオ」  和名 「伊吹虎の尾」

花期 7~8月
タデ科 イブキトラノオ属 
草丈 50~120cm 花径 3mmほどの花が集まって3~8cmの花穂を作ります。

山地や高原の日当たりのよいやや湿った場所に生育する多年草。1つ1つの小さな花もよく見るととても愛らしく、草原で草むらから細長い茎をのばして、花穂が風に吹かれてゆったりと揺れる様子は清涼感あふれるさわやかな花です。礼文出咲くものは他に比べ花の色が濃く大型で「エゾイブキトラノオ」と呼ばれます。桃岩展望台近くで群生し揺れていました。

ムカゴトラノオ」  和名 「零余子虎の尾」

花期 6~9月
タデ科 イブキトラノオ属 
草丈 10~30cm 花径 3mm 花穂は2~7.5cm

北海道と本州の中部地方以北の日当たりのよい礫地や草地に生える多年草。長い花穂上部にややまばらに小さな白花をつけ、花穂の下部にむかご(珠芽)をつけます。写真ではむかごがよく撮れていませんが、、。礼文林道の脇に1つだけ咲いているのを見つけました。
ヤナギトラノオ」  和名 「柳虎尾」

花期 6~7月
サクラソウ科、オカトラノオ属 
草丈 30~50cm 花径 約8mm 花序は2~3cm

北海道、本州中部地方以北の湿原に生える多年草。葉はヤナギに似ていて、黄色いブラシ状の花をトラの尾に見立てつけられた名前です。茎の下の方に花をつけるのが他のトラノオと違います。

葉の脇から出ているブラシ状の黄色の花は、いくつもの小さな花が集まったものです。なんとなくユーモラスで可愛い花です。利尻島のオタトマリ沼の周りの草むらに群生していました。
ツマトリソウ」  和名 「褄取草」

花期 6~7月
サクラソウ科 ツマトリソウ属
草丈 5~20cm 花径 1.5~2cm

亜高山帯の草地や林縁などに生育する多年草。名前のいわれは和服の褄を手でつまんで持ち上げるときに着物の赤い裏地が見える様子と、この花に同じような縁取りが見られることからきているという。

ほんのり淡い薄紅色の縁取りが八卦けのぼかしの感じによく似て可愛いつつましやかな花です。礼文林道の熊笹の根元にひっそりと咲いていました。
ゴゼンタチバナ」 和名「「御前橘」

花期 6~8月
ミズキ科 ゴゼンタチバナ属 
草丈 5~15cm 花径 約2cm(総苞片も含め)

北海道、本州中部以北の亜高山の針葉樹林内に生育する常緑の多年草。4枚の花弁のように見えるのは総苞片で真ん中に小さな花が多数集まって咲いています。同じ仲間のヤマボウシやハナミズキを小さくしたような花です。小花が白く見える方はまだつぼみで、開花すると黒紫のおしべが見えます。

とても小さく地味な花です。秋に赤く熟す実が味わいがあるといいます。優雅な名前のいわれは、最初に発見されたのが白山の主峰・御前峰で、実がヤマタチバナの実に似ていることからだそうです。
エゾバイケイソウ」 和名「蝦夷梅形草」

花期 6~7月
ユリ科 シュロソウ属 
草丈 60~150cm 花径 0.8~2cm 

北海道、本州の低地~高山帯の湿った草地などに生育する多年草。

勝手気ままな方向に花穂を延ばして咲く様子は、山野草にしては豪快で迫力を感じますが、1つ1つの花は緑白色で花とは気付かないくらい目立たないけれど可愛い花です。草原に元気に頭を出して咲いていました。
チシマフウロ」 和名「千島風露」

花期 6~8月
フウロソウ科 フウロソウ属 
草丈 20~50cm 花径 2.5~3cm

北海道~東北地方の日当たりの良い草地や砂礫地に生える多年草。

淡い青色の花びらに放射状の線が透かしのように入っていて可愛い花です。礼文島のスカイ岬やスコトン岬に行く途中の道沿いにあちこちに群れて咲いていました。桃岩遊歩道にも黄色やピンクの花と競うように咲いて、青色のよい彩りになっていました。
ネムロシオガマ」 和名「根室塩竃」

花期 6~7月
ゴマノハグサ科、シオガマギク属
草丈 20~40cm 
花径 2~3cm

北海道東部と礼文島の明るい草地にのみ生育する多年草。シオガマギク属の花はいろいろありますが、白い花はネムロシオガマだけだそうです。

花びらの先が曲がっているので、上から見ると淡クリーム色の花びらが渦巻き状に巻いていてユニークな花で、見るとすぐそれとわかります。桃岩遊歩道のそこここに咲いていました。花びらが傷んでいるものしかなく美しい姿をお見せできなくて残念です。
ヒメシャクナゲ」 和名「姫石楠花」

花期 6~7月
ツツジ科 ヒメシャクナゲ属 
草丈 10~30cm 花径 5~6mm

本州中部以北の湿地に自生している常緑小低木。名の由来は、葉が硬く裏側に巻く様子を、シャクナゲの葉に見立て小形から、ヒメシャクナゲの名になったといいます。
花がコロコロと球のように膨らんで、シャクナゲとは異なり、むしろ壷型のドウダンツツジの花に似ています。尾瀬で見かけたとき、あまりに木道から遠く、よく見えなくて残念だったので、今回は近くで見られてよかったです。もう咲き終わりでしたが。
スズラン」 和名「鈴蘭」

花期 5~6月
ユリ科 スズラン属 
草丈 15~25cm 花径 6~9mm

北海道、本州中部以北の原野などの比較的寒い地域に生育する多年草。 花の形が鈴に似ていて、葉が蘭に似ているからスズランの名がついたそうです。

花が葉の下に咲き、葉の影に隠れるように見えるので、君影草とも呼ばれます。清らかな純白で可憐な花です。

同じスズランでも栽培されているものはドイツスズランで花の高さが葉と同じくらいに咲き日本産のものと区別できます。1枚、我が家に毎年咲くドイツスズランも紹介しておきました。
ドイツスズラン
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