第16回 利尻・礼文の花(2)
年末年始、全国的に寒い日が続きましたが、皆様お変わりなくお過ごしですか。利尻・礼文の花の2回目です。利尻岳の写真も掲載しました。花と合わせてご覧ください。

コウリンタンポポ」  和名 「紅輪蒲公英」

花期 6~8月
キク科 ミヤマコウゾリナ属 
草丈 20~50cm 花径 2~3cm

乾燥地を好み耐寒性の強い多年草。ヨーロッパからの帰化植物で、北海道に主に生育しています。礼文島の高山植物園の入り口付近にたくさん咲いていました。あまりに強烈な印象を受けたので、受付の人に花の名前を聞いたら「コウリンタンポポ」と教えてくれました。

密に詰まった濃いオレンジの花弁とくるくるっとまいたような雄しべの黄金色の鮮やかな色のコントラストはエキゾチックで、炎のような力強さを感じます。
チシマギキョウ」  和名 「千島桔梗」

花期 7~8月
キキョウ科 ホタルブクロ属 
草丈 5~15cm 花径 3~4cm

本州中部と北海道の高山の岩場の隙間や砂礫地にしがみついたように生育する多年草。イワギキョウによく似ていますが、花が横向きに咲くことや花弁に繊毛が見られることで区別できます。

利尻島の海岸ぎわの崖と高山植物園にも咲いていました。高い山に登って出会えたら、なおその良さがわかるだろうなと思いました。
クルマバソウ」  和名 「車葉草」

花期 5~7月
アカネ科 クルマバソウ属 
草丈 20~40cm 花径 5~7mm

北海道、本州の低地~亜高山帯の林内や林縁などに自生する多年草。6~8枚の輪生する葉のまん中から伸びた茎に可愛い漏斗状の花を付けます。名前のいわれは葉のつき方が車の様子を思わせることからだそうです。

利尻島の姫沼の遊歩道の見過ごされそうな草むらに咲いていました。花も葉も可愛い花です。どこにもありそうだけれど見たことがなかった花でした。
レブンシオガマ」 和名「礼文塩竈」

花期 6~7月
ゴマノハグサ科  シオガマギク属
草丈 70~100cm 花径 約1cmの花が集まり20段~30段の花序をつくる。

礼文島に固有の花で礫地や草地に生育する多年草。ヨツバシオガマの仲間でも特に大きく、信州などで見られる繊細なシオガマに比べると、たくましく力強さを感じます。

林道や遊歩道のあちこちに咲いていました。
ギョウジャニンニク」 和名「行者大蒜」

花期 6~7月
ユリ科 ネギ属 
草丈 40~70cm 花径 小さい花が多数散房状に集まり5㎝の花序を作ります。

本州中部以北~北海道の深山の沢沿いの肥沃な場所に自生する多年草。北海道の山菜の中でも、最も人気のあるものの一つで、アイヌネギの呼び名もあります。名前の由来は、強いにんにく臭があり、山伏などが山の中で体力をつけるために食べたところから「行者ニンニク」となったということです。芽が出て花が咲くまで10年かかるそうですが、ヤマラッキョウの花を白くしたイメージです。山菜ブームで、あまり採りすぎないでほしいです
センダイハギ」 和名「先代萩」

花期5 ~8月
マメ科 センダイハギ属 
草丈 80~90㎝ 花径 約2~2.5cmを多数つけて20~25㎝ほどの花穂を作ります。

東北地方以北の日当たりのよい草原や海岸に自生する多年草。仙台地方のような日本の北の方でよく見られるという意味で、仙台萩と最初に名付け、それに歌舞伎の「伽羅(めいぼく)先代萩」をからめてつけられたといわれています。

礼文島のあちこちでマメ科独特のかわいい蝶々型の花を咲かせていましたが、眩しいほどに鮮やかな黄色でよく目立ちます。
ノハナショウブ」 和名「野花菖蒲」

花期 6-7月
アヤメ科 アヤメ族の多年草
草丈 60~120cm 花径 約10~13cm

第5回の阿蘇・久住の夏の花でもご紹介しましたが、利尻島のオタトマリ沼の周りに群生していましたので再度ご紹介します。ハナショウブの原種で山野の草原や湿原に自生します。

園芸種のハナショウブに比べ、ほっそりと清楚で、濃い紫色が古風な感じがして好きです。
 
「利尻岳」

「利尻富士」の愛称で親しまれている利尻岳(国土地理院では利尻山)は標高1721m。日本百名山の最北に位置し、深田久弥が書いているように、周囲63.3kmのほぼ円形の利尻島がそのまま利尻岳で、海まで続く山裾のどこからも様々な山容で眺められる秀峰です。登山コースはかって3本あったそうですが、現在は沓形コースと鴛泊コースの2本、そのうちの沓形コースは崩壊が進み危険だそうです。登りにはかなり時間を要しますが、登山道では日本でここだけに観られるリシリヒナゲシをはじめたくさんの高山植物を楽しむことができ、晴れた日の山頂からの大パノラマは言葉にできないほどの感動だそうです。

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