第14回 山の花の女王格
皆様お元気ですか?今年もあと数日を残すばかりとなり、お忙しい毎日をお過ごしのことと思います。夏以来続けてきました、山野の花のシリーズ、見ていただいてありがとうございます。今年最後の回として、私が勝手に選んだ山野の花の女王にふさわしい3つの大物の花を紹介します。いざご紹介しようとして写真を探しましたが、案外残っていなくて乏しい枚数ですが、花そのものの存在感、格調の高さはいずれ劣らぬものばかりですのでご覧ください。
では皆様、お元気でよいお年をお迎えください。
ヤマシャクヤク」  和名 「山芍薬」

花期 5~6月
キンポウゲ科 ボタン属 
草丈 40~50cm 花径 4~5cm」

私にとっては1番の女王格の花です。明るい落葉広葉樹林の斜面下部や谷などに生育する多年草で、シャクヤク(芍薬)に似ていて山地に自生することからついた名前です。初めて原生林の中に、掌を丸めたようにほっこりと一つ咲いているのを見つけたとき、こんなに気品のある花があったのだと感激し、それが山野草に興味をひかれるきっかけだったような気がします。

大分の黒岳の登山口から少し上ったところの道を外れたところに毎年咲いているので見に出かけます。前の年にたくさん咲いていた場所に、翌年は盗掘されて1本の苗も残っていなくて悲しい思いをしたり、また別の場所に数本咲き始めたのを見つけて嬉しかったりします。3、4日で花弁が枯れるので見に行くタイミングが大切です。
オオヤマレンゲ」  和名 「大山蓮華」

花期 6~7月
モクレン科 モクレン属 
樹高 5mまで 花径 8~10cm

高所の落葉広葉樹林に生育するに落葉小高木。 誰も訪れない深山にひっそり咲く花のイメージがあり、純白の色と咲く姿に格調高い気品が感じられることから「森の貴婦人」と呼ばれています。

数年前に、吉田慶子さんの情報を得て、高野さん、安藤さんたちと、オオヤマレンゲを見ようと、久住の鳴子山に喘ぎ喘ぎ登って、頂上直下の急な斜面に咲いているこの花に出会った時は嬉しくて、頑張って登ってきてよかった!と思いました。それ以来見ていませんが、下向きかげんに恥じらうように花びらを控えめに開いて咲く純白の薫り高いこの花は忘れられません。"またいつか“、といつも思っています。
シラネアオイ」  和名 「白根葵」

花期 4~6月
シラネアオイ科 シラネアオイ属 
草丈 20~60cm 花径 約7cm
雪が深い山などで、しかも窪んでいて遅くまで雪が残るところを好み生育する多年草。
日本に固有の1科1属1種の花です。名前のいわれは日光白根山に多く生育し、花がタチアオイに似ていることからということです。

本で写真を見ては憧れていた花でしたが、数年前に尾瀬を歩いた時に出会いました。ピンクに淡い青みがかった何とも言えない優しい色です。大きな花なのに清楚で優雅な独特の雰囲気があって、見とれてしまいました。この花もそれきり見ることはできていません。
どこででも見ることのできない花だから、出会った時の感激も格別なのでしょうね。

もどる