第12回 阿蘇・久住の秋の花(5)
そろそろ本格的な寒さがやってきそうですが、皆様お元気ですか?納会や新年会の案内が届く季節となり、"もう今年もわずかか“と、わけもなく焦ってしまうこの頃です。阿蘇・久住の秋の花」5回目をお届けします。地味な花が多いですが、そういうのも秋の花らしいと思ってみてください。
アキノノゲシ」  和名 「秋の野芥子」
花期 8~11月
キク科 アキノノゲシ属 
草丈 0.6~2m 花径 1.5~2cm

日当たりのよい路傍、荒地、草地に自生する二年草。名前のいわれはノゲシに似て秋に咲くからということです。クリーム色の花弁の中に濃い色のおしべがアクセントになって、やわらかな雰囲気で、何となく昔懐かしさを感じる花です。野道の道端に咲いていましたが丈が高いのでよく目立っていました。タンポポのように種子が綿毛になって飛んできます。
アキノウナギツカミ」  和名 「秋の鰻掴み」
花期 8~11月
タデ科 イヌタデ属 
草丈 60~100cm 花径 
    約3mmの花が10数個集まって頭状
    に咲きます。

低地の湿り気のあるところに生える一年草。茎にたくさん下向きの短い棘があって、この草を使うとウナギのようなぬるぬるしたものでもつかみやすいだろう、ということからついた名です。面白いですね。

長者原の湿原を歩いていると、金平糖のようなかわいい花が咲いているので、なんだろうと立ち止まっていたら、前後して歩いていた方が教えてくれました。写真にうまく棘が撮れていないのが残念です。。
ミゾソバ」  和名 「溝蕎麦」
花期 8~10月
タデ科 イヌタデ属 
草丈 30~80cm 花径 4~7mmの花
    が10個くらい集まって総状花序を
    つくります。

野原や山道、道ばたの湿地に普通に見られる一年草。名前のいわれは、葉も花も実もソバに似ていて、溝のような湿ったところを好むことからだそうです。

「アキノウナギツカミ」と同じく金平糖のようなかわいい花で、花弁は閉じたままのものが多いようです。茎全体に下向きの小さなとげがあるのも同じです。阿蘇の野草園に咲いていました。
コメナモミ」  和名 「小雌菜揉」
花期 9~10月
キク科 ベニバナボロギク属 
草丈 30~80cm 花径 約1cm

山野の荒れ地や道端に生える1年草。地味な花ですが、中央の10数個の筒状花とまわりの6個ほどの舌状花の2種類の花がまとまって一つの花になっているのが特徴です。

その花の周りのヒトデのような不思議な形をした5つの総苞片も変わっていて面白く、何?と興味を引かれます。その総苞片のネバネバで「くっつきむし」になり種子を運びます。阿蘇の野草園に咲いていました。


シラネセンキュウ」  和名 「白根川弓」 
花期 9~10月
セリ科 シシウド属 
草丈 80~150cm 花径 4~5mm

山地の林下,谷川の縁などの日陰に生える多年草です。日光の白根山で発見され,薬用植物のセンキュウに似ているのでこの名がついています。夏に咲くシシウドと同じ仲間ですが、ずっと小ぶりで、咲く場所も日陰でひっそりとしてとても繊細な感じです。15~30本の枝先に40~50個の小花を密生する小散形花序を作って咲きます。
花弁と花弁の間にめしべが飛び出しているのが、まるでレースで編んだように可愛く、花火のようにも見えるし、学名の属名が「Angelica」といい天使からきているというのもなるほどと思えます。阿蘇の野草園に咲いていました。
ナンテンハギ」  和名 「南天萩」 
花期 6~10月
マメ科 ソラマメ属 
草丈 30~90cm 花長 1.2~1.5cm 
花序は2~4cm

日当たりのよい原野に見られる多年草。ハギの名を持ちますがハギ属ではありません。名前のいわれは葉の形が「ナンテン」に、花の形が「ハギ」に似ていることからついたそうです。紅紫色の蝶形の花が同一方向を向いて咲くのが特徴的です。

春先の若葉は山菜としても美味しく、民宿などでいろいろな料理に使われるようです。阿蘇のやまなみハイウェイの明るい道の脇の草むらに咲いていましたが、青から紅のグラデュエーションが美しく鮮やかに目立っていました。

ヤクシソウ」  和名「薬師草」 
花期 8~11月
キク科 オニタビラコ属 
草丈 30~100cm 花径 1.5cm

日当りのよい道ばたやあき地、荒れ地、原野などに普通に生育する2年草。秋、枝先に小さいながら端正な花をたくさんつけて咲きます。やさしい黄色の花弁の中にめしべが上を向いて目立って印象的です。

阿蘇の俵山の中腹で休んだとき、目の前に咲いていました。小さく咲いている花も、咲き終わってうなだれて下を向いている様子も可愛くて、なんという名だろうと思い、帰って調べました。名前のいわれは諸説あって定かでないそうです。

もどる