第11回 阿蘇・久住の秋の花(4)
寒かったり暖かったりですが皆さんお元気ですか?先日、友人から「三俣山の大鍋小鍋の紅葉が素晴しかったよ。」と聞いて、3日後に登ってみましたら、紅葉はすっかり終わってグレー一色のお鍋を眺めて帰ってきました。山の秋はあっという間に過ぎてもう冬の準備でしょうか。「阿蘇・久住の秋の花」の4回目です。
ウメバチソウ」  和名 「梅鉢草」
花期 8~10月
ユキノシタ科 ウメバチソウ属 
草丈 10~40cm 花径 2~2.5cm

低地から山地の明るい湿地や草原に生える多年草。和名の由来は、花の形が梅をこよなく愛した菅原道真の家紋の梅鉢紋に似ていることから来たそうです。

久住、阿蘇にウメバチソウが咲き始めると、もう草原の花は終わりです。何となく名残惜しくて、何度も見に行きたくなります。歩っ歩倶楽部の秋の例会に参加する途中で5期の荒巻さんと立ち寄った阿蘇の大観峰にたくさん咲いていました。まん丸なつぼみも、凛とした花も、丸いハート形の葉も、どこから見ても気品に満ちた清楚な花です。
センブリ」  和名 「千振」
花期 8~11月
リンドウ科 センブリ属 
草丈 10~20cm 花径 2~3cm

山野の日当たりのよく少し湿り気のある場所に生える2年草。 強い苦味があり、健胃薬としてよく知られています。名のいわれは熱湯に浸して1000回ゆすって成分を振り出してもまだ苦みが残ることから来たそうです。

熊笹が生い茂った鞍岳の山頂近くの石の陰にひっそり咲いていました。アケボノソウと同じ仲間ですが、花びらの模様がシンプルで紫の縦すじが入っているせいか、小さいながらしゃきっと一本芯が通った感じがする花です。
ハギ」  和名 「萩」
花期 8~10月
マメ科 ハギ属
木の高さ 1~2m 花径 1.5~2cm

日本各地の山野に広く分布している落葉性低木です。ハギというとヤマハギを指すともいわれますが、マルバハギ、ツクシハギなど日本に10数種類あるハギ属の総称で、秋の七草の一つです。


万葉集に1番多く出てくる花だそうで、日本人に古くから愛されてきた花です。マメ科に特徴的な、蝶々型のかわいい花をつけます。細長く伸びて垂れるたくさんの枝いっぱいに花をつけて、風に揺れる様子に秋の風情を感じます。種類はよくわからないので、写真はまとめてハギとしました。
ベニバナボロギク」  和名 「紅花襤褸菊」
花期 8~10月
キク科 ベニバナボロギク属 
草丈 30~80cm 花径 約1cm

道端や山林の伐採地などの荒地などに生える一年草で、アフリカ原産の帰化植物。茎の上部に枝を出して朱赤色の筒状の花序が頭を垂れているのが特徴です。

花が咲いた後すぐに白い冠毛がボロ布のように付くので命名されたそうですが、なんだかかわいそうな名前ですね。白い綿毛がタンポポの綿毛のように飛んでいく様子を見たいと思います。阿蘇高森の野草園に咲いていました。

ミカエリソウ」  和名 「見返草」 
花期 9~10月
シソ科 テンニンソウ属
樹高 0.5~1m 花径 8~10mmの花が集まって長さ7~15センチの総状花序をつくる

林道沿いの木陰などでよく見られる落葉低木。群生する花穂が美しく,思わず見返ることから命名されたと言われています。阿蘇高森の野草園に咲いていました。霧島山系の矢岳に群生地があるそうです。
ヤマハッカ」  和名 「山薄荷」 
花期 9~10月
シソ科 ヤマハッカ属 
草丈 40~90cm 花径 7~10mm

山野の道ばたや林縁に生える多年草。花茎を伸ばし唇形薄紫色の花を段状にたくさんつけます。花を正面から見ると、上に立ち上がる花びらがあり、この薄青紫の花びらに小さな濃い紫色の斑点がたくさんあるのが特徴的です。
地味で控え目な花ですが、淡い青紫と濃い紫それに咲き終わった花殻の赤茶けた色のコントラストに、なにげない秋の野草の風情が感じられて見入ってしまいます。
リンドウ」  和名「竜胆」 
花期 9~11月
リンドウ科 リンドウ属 
草丈 30~100cm 花径 2.5~3.5cm

比較的標高の低い丘陵や山地の日当たりのよいススキ草原に生育する多年草。濃い青紫色の花は野趣にあふれ、日本人に古くから親しまれてきた秋を代表する野草といえると思います。

花は日光を受けると開き、夜や雨や曇りの日は閉じます。漢名は,リンドウの根に胆汁のような強い苦みがあり,まるで竜の胆(肝臓)を食べたようであることに由来しているそうです。リンドウが咲き始めると山は紅葉が始まり、秋の深まりを感じさせてくれます。秋の山道で疲れを癒してくれる優しい花です。

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