第10回 阿蘇・久住の秋の花(3)
11月に入り、秋も深まってきましたが、皆様お元気ですか?山ではもう花が終わりに近づき、ススキの穂が美しいときを迎えています。秋の花の3回目です。

フシグロセンノウ」  和名 「節黒仙翁」
花期 8~10月
ナデシコ科 センノウ属 
草丈 40~80cm 花径 5cm
山地のやや湿り気のある林の中に生える多年草。京都の仙翁寺というお寺で、植えられていたので、名前がついたというセンノウの中でも、茎の節が紫黒色を帯びることからこの名があります。やや大きめの朱赤色の花は、薄暗い林の中の下草の中でもすぐに見つけることができるほど鮮やかです。かなり離れた所からも目につきます。たくさん群生していることはなく、広い林の中にポツンポツンと咲いています。

季節は違いますが、同じセンノウの仲間の「カッコウセンノウ」、「マツモトセンノウ」、「エンビセンノウ」も紹介しておきます。
カッコウセンノウ
マツモトセンノウ エンビセンノウ
サイヨウシャジン」  和名 「細葉沙参」
花期 8~10月

キキョウ科 ツリガネニンジン属 
草丈 40~100cm 花冠の長さは1.5~2cm

日当たりのよい山野の草原や道端に自生する多年草。ツリガネニンジンに似ていますが、花冠の先がわずかにくびれて つぼ形になり、花柱が長くつき出すのが特徴です。
ずっと私はこれをツリガネニンジンだと思っていたのですが、今回調べたら今まで撮ったのは全てサイヨウシャジンだと解りました。俯きがちに咲いた姿が可憐な花です。阿蘇の大観望に向かう道の両側のあちこちに咲いていまし
た。
ヤマラッキョウ」  和名 「山辣韮」

ユリ科 ネギ属
ツリフネソウ科 ツリフネソウ属
草丈 30~60㎝ 花径 小さな花が多数散房状に集まり2.5~3㎝の花序を作ります。
日当りのよいやや湿気のある草原に見られる多年草。和名は山に自生しているラッキョウの意味です。何となくユーモラスな愛嬌を感じさせる花です。

歩っ歩倶楽部が活動を始めた頃、初めて吉田慶子さんに名前を教えていただき、皆で忘れないように復習しながら歩いたのを懐かしく思い出します。10月の始めに阿蘇の鞍岳に登ったとき、頂上近くにたくさん咲いていました。
サワヒヨドリ」  和名 「沢鵯」 
花期  5~9月

キク科 ヒヨドリバナ属
草丈 40~90cm 花径 小さな花が多数集まり10~15cmの花序をつくります。
日当たりのよい湿地に生える多年草。秋の七草の一種で知られるフジバカマの仲間です。枝分かれせずすっと伸びた茎のうえに1つの花序をつけるので、すっきりとした秋らしい感じがします。開花すると、小さな一つ一の淡赤紫色の筒状の花びらの中から、白い髭のような雌しべの細い花柱が飛び出して、全体が白っぽく見えて面白い花です。
クサフジ」  和名 「草藤」 
花期 5~9月

マメ科 ソラマメ属
蔓の長さ 80~150cm 花径 1~1.2cm 集まって6~15cmの総状花序を作ります。
日当たりのよい草地などに生育するツル性の多年草。名前のいわれは花と全体の姿が藤に似ていることによるそうです。
青紫から少しピンクがかったグラデュエーションが美しい花です。1方向だけに少し下がり気味に咲いているのも特徴的です。山すその道の端につるが茂って、たくさんの花をつけているのをよく見かけます。
タムラソウ」  和名「田村草」 
花期 7~9月

キク科 タムラソウ属
草丈 50~120cm 花径 3~4cm
の小花を穂状につける
山地や丘陵地の草原に生える多年草。花はアザミに似ていますが、葉に棘がないので容易に区別できます。
アザミが“夏!”という印象なら、タムラソウは秋の花らしく、少しおとなしい女性的な感じです。高く伸びた茎の先にすっきりと上向きに咲く姿が美しい花です。
キクアザミ」  和名「菊薊」 
花期 9~10月

キク科 トウヒレン属  
草丈 30~120cm 花径 1.2~1.3cm
山地や低地の日当たりの良い草原に生育する多年草。アザミに似ていますが、タムラソウと同じトウヒレン属の花で、葉に刺がありません。阿蘇の鞍岳に登る途中に咲いていました。
小さな花ですが、濃い紫の刺のような花びらがつんつんと飛び出して、その先が2つに割れていたりしているのが可愛いなとしばし見入ってしまいました。
ホトトギス」  和名 「杜鵑草」
花期 9~10月
ユリ科 ホトトギス属 
草丈 60~100cm 花径 3~4cm
山地の湿地に生育する多年草。名前の由来は花びらの紫色の斑点が鳥のホトトギスのお腹の模様に似ているところから名付けられたということです。渋みのある味わいが茶花などにも好まれて、よく庭先でも見られます。

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