第8回 阿蘇・久住の秋の花(1)
厳しかった残暑もようやく収まって、少し秋らしくなってきましたが、皆様お元気ですか?今回から秋の花をご紹介します。夏の花、秋の花といっても、場所により年により咲く時期はまちまちですし、長期にわたって咲く花もありますから、はっきりと区別されるわけではありません。一般的に言われていることや、私の頭の中にあるイメージで勝手に分けていますので、異論もあろうかと思いますが、大目に見てください。
マツムシソウ」 和名「松虫草」
花期 8~10月

マツムシソウ科 マツムシソウ属 
草丈 40~90cm 花径 4~6cm

山地や高原の日当たりのよいところに育つ多年草です。秋の草原の花といえば1番に頭に浮かぶ花で、毎年秋の気配がしてくると、無性にこの花を見たくなります。そうして出かけて出会えた時、季節季節の楽しみを味わえる幸せをつくづく感じます。
爽やかな淡いブルーの中に雄しべの葯の少し濃い色も可愛く、気品のある花です。
ワレモコウ」 和名 「吾亦紅」

花期 8~10月
バラ科 ワレモコウ属
草丈 40~100cm  花径 1~2cmの花穂に花びらの無い、4枚の萼からなる小さな花を密につけます。
日あたりの良い山野や草原に生育する多年草。私にとってはマツムシソウと並んで秋の花の代表です。草原に暗赤紫の楚々としたこの花が咲いているのを見ると、いかにも“日本の秋”という風情を感じます。

高浜虚子が「我も亦 紅なりと ひそやかに」と詠んだそうですが、ほんとうに控え目でいじらしい花です。「我木香」という字をあてるのが正しいという説もあるそうですが、「我亦紅」のほうが心情的にぴったりします。
アケボノソウ」  和名「曙草」 
花期  9~10月

リンドウ科 センブリ属
草丈 60~100cm 花径 約2cm
湿原の周辺草地や山間の小川のほとりなどの湿った場所に生育する2年草。名前の由来は花冠の緑色と黒紫色の斑点を夜明けの星に見立てたためといわれています。
本で見て、とても気になっていたけれど見たことが無かったこの花を、友達を案内して歩いた長者原のタデ原で見つけたとき、珍しい花びらの模様に「本のとおりだ!」と感激しました。地味だけれど透明感のある味わい深い花です。
オミナエシ」  和名 「女郎花」 
花期 8~10月

草丈 60~100cm 花径 3~4mmの小花が房状に集まって咲きます。
日当たりのよい山野や平地に生育する多年草です。
「秋の七草」の1つで万葉の昔から親しまれている花です。
オミナは女で花全体の優しさ(女郎と書いても花魁の意味ではありません)を、エシはメシがなまった言葉で小さな花の様子を女性が食べていた粟飯に見立てたものだそうです。こんな素朴な花を見ていると、万葉集をゆっくり紐解いて、自然とともに生活していた時代を偲びたくなります。
サワギキョウ」  和名「沢桔梗」 
花期 8~9月

キキョウ科 ミゾカクシ属  
草丈 50~135cm 花径 2.5~3cm
山野の湿地に生育する多年草です。
名前は沢に咲く桔梗の意味ですが、桔梗に似ているのは色だけで、特徴的な、鳥が翼を広げたような珍しい形をした花が下から咲いていきます。濃い紫が緑の草原の中ですっくと立ち上がって、ひときわ目を引きます。

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