第6回 阿蘇・久住の夏の花(3)
阿蘇・久住の夏の花」の3回目です。もう9月になり、山はもう秋の気配がただよっている頃だと思いますが、もうしばらく夏に咲く花を取りとめもなく紹介します。
アザミ」  和名「薊」
キク科 アザミ属
古くから私達日本人に親しまれてきた花ですが、「アザミ」と一口にいっても日本国内だけでも100種を越える種類があるといわれています。
花の大きさ、葉の形、花が上を向くのか下を向いているのか、花の下の総苞と呼ばれる部分の形や性状などで細かく分類されています。花の咲く時期も春先から秋までとさまざまです。
多分私達が阿蘇や久住で見る花は「ノアザミ」や「ノハラアザミ」と呼ばれるものだと思いますが、はっきりしないので、「アザミ」としてまとめて写真を掲載します。
出番が遅くなりましたが、夏の定番の花です。
ママコナ」    和名「飯子菜」 
花期 7~9月

ゴマノハグサ科 ママコナ属
草丈 30~50cm 花径 1.5cmほどの紅紫の花を片側穂状につけます。
やせた乾き気味の林下に生える半寄生(自分では光合成をしてはいるのですが、他の植物の根などに寄生して水分や窒素分などの栄養を宿主から吸収している)の一年草です。

下の花弁の上に白いご飯粒のような模様があるのでママコナというそうです。間近く見ると思わず笑顔になるような愛嬌があります。

ユウスゲ」  和名「夕菅」 
花期 7~8月
ユリ科 ワスレナグサ属
草丈 約1~1.5m 花径 約10cm
山地の草原や林縁などのやや乾いたところに自生する多年草です。
ニッコウキスゲに似ていますが、ユウスゲの花の色は淡いレモンイエローでとても繊細な印象を与えます。朝咲いて夕方には萎んでしまう一日花だからというだけでなく、花全体が透き通って儚げな雰囲気をもっているからだと思います。夕方着いて日が暮れてあたりが暗くなるまで、阿蘇の草原に一面に咲いているこの花をゆっくり見ていられた日は幸せです。
ゲンノショウコ」 和名 「現の証拠」 
花期:7~8月

フウロソウ科 フウロソウ属
草丈 30~50cmcm  花は直径 1~1.5cm
日当たりのよい山野に普通に生える多年草。ドクダミ、センブリとともに日本3大薬草といわれ、その薬効が速やかに“現”れることから『現の証拠』と名づけられたそうです。
夏に山道を歩いていると両脇の草むらのあちこちに可愛い白と赤紫の花が混じって咲いています。
イヨフウロ」   和名「伊予風露」 
花期 7~9月

フウロソウ科 フウロソウ属
草丈 30~70cm  花は直径 2.5~3cm
山地の草地に生える多年草。「ゲンノショウコ」と同じ科、属ですが、花が大きいので違いがわかります。同じ仲間で、色が赤い「ツクシフウロ」と、この夏、礼文島で見た「チシマフウロ」も掲載しておきます。8月の終わりごろ山を歩いている時、あちこちに可愛
く優しい花が見られました。
ツクシフウロ チシマフウロ
ホソバシュロソウ」 和名「細葉棕櫚草」
花期 7~9月

ユリ科 シュロソウ属
草丈 30~80cm 花径 約1cm
山地の林縁や草地に生える多年草。
地味で目立たない花ですが、沓掛山の頂上近くで始めてみたとき、紫褐色のランのような花に「?」と気になった存在感のある花です。
花を太陽に透かしてみると金色に輝いて見えます。
茎の基部がシュロの皮のような繊維に包まれるためこの名前が付けられたそうです。
ウツボグサ」    和名「靫草」 
花期 6~8月

シソ科 ウツボグサ属
草丈 10~30cm 花径 1.5~2cm 3~8cmの花穂をつけます。
山道の端や草原の日当たりのいい所に生える多年草名前は花穂が矢を入れるうつぼに似ているからと言います。
田舎道のどこでも見られる花ですが、山で見るほうが、紫の色が濃くきれいな気がします。
ヤクシマホツツジ」 和名「屋久島穂躑躅」

花期 7~9月
ツツジ科 ホツツジ属 
樹高 1~2m 花径 1cm 10cmほどの花序を伸ばします。
山地の日当たりの良い岩場等に自生する落葉低木。
こんもり茂った木の枝の先に10cmほどの花穂を延ばして、数個の花をつけます。

沓掛山で見かけましたが、見頃はもう少しという感じでした。
おしべを前に突き出して3枚の花びらをくるりとそらせて咲いていますが、巻き込んだ花の先がほんのりピンク色をしているのがなんとも言えず可愛い花です。
もどる