第2回 栂池周辺の花たち(2)
 まずはじめに、この特集立ち上げのきっかけとなった、WV創部45周年記念の合宿の直後でありますので、皆さんの記憶に新しいうちに栂池周辺で出会った花を特集したいと思います。
イワカガミ」  和名 「岩鏡」
花期 5~7月
イワウメ科イワカガミ属の常緑多年草で 花茎は高さ10~20cmになり、淡紅色~帯紫紅色の花が横向き、またはややかたよって3~10個つけます。花の先は大まかに 5 裂し,先端は細かく裂けています。
名前のいわれは岩場に多く咲き、葉が丸くツルツルで光沢があり鏡のようなので付いたそうです。

八方尾根のリフトを降りてすぐの遊歩道に咲いていました。九州でも久住や由布岳にミヤマキリシマを見ようと登ると道の脇にそっと 咲いています。近くで見ると可愛い花ですが、ミヤマキリシマばかりに目をやっていると、小さくて見落としてしまいそうです。よく見る花ですが、なぜか見つけると、とても得をしたような気がして嬉しくなる花です。
キバナイカリソウ」  和名 「黄花錨草」 
花期 4~6月

メギ科 イカリソウ属の多年草 草丈 20~30cm ハート型の葉の下に3~4cmの淡黄色の花をつけます。「イカリソウ」に は他にも、よく見られる紫色の花や白色の種類もあります。
「イカリソウ」の名は花の形が船の錨に似ていることから付けられたといわれています。花の細長い部分は“距(きょ)”と呼ばれ、 ここに蜜が入っているそうです。また全草または葉は強精の薬草として昔から用いられていたようです。

八方尾根を歩いていて、2輪だけ咲いているのを見つけました。1つはまだ咲きかけで、1つは開ききっていました。とても変わった形ですが、うつむきかげんに咲く淡い黄色の花がとても清楚で上品です。雨に濡れて、細いハート型の葉の縁の刺毛にも水滴がついているのもきれいでした。
チングルマ」 和名 「稚児車」
花期 6~8月

バラ科 チングルマ属の常緑の小低木 草丈 約10cm 花径は約3cm白い5枚の花びらと黄色い雌しべが特徴的で、高山の湿ったところや岩場など日当たりの良い場所に生えます。花が終わってから雄しべがひげのように伸びて独特の形になります。その長い毛が風にそよいで風車のように見えることから稚児車とも言われています。チゴグルマがチングルマに変わっていったのでしょう。

八方尾根の第2ケルンの近くに咲いていました。白い花ですが、ふわふわとした雄しべのせいで、遠目には黄色の花のようにも見えました。良く知られた花ですが、九州では見られない花なので、出会えてよかったです。
花はもちろん、夏の終わりから秋には、長いひげが夕日に光り、風に揺れる様子が登山者や写真家に好まれます。
長いひげの様子は、こちらでも見られる「オキナグサ」の種子の毛の様なのだろうなと想像しています。
以前に尾瀬で撮影した写真に、花びらが落ちて、ひげになり始めたものがありましたので、一緒に掲載してみました。右下の花です。

ミヤマキンバイ」  和名 「深山金梅」
花期 6~8月

バラ科 キジムシロ属の多年草 草丈 10~20 cm  花径は約2cm和名の由来は高山に咲く「金梅」で「金梅」は花の色が黄色で形が梅の花に似ているところからつけられたといわれています。花は5弁で花びらの先がへこんでいることや、花弁の基部の色が濃いことが特徴です。

八方尾根の第2ケルンまでの登山道にたくさん咲いていました。黄色の花はたくさんあって、見分けるのが難しく、わからないままになっていることが多いのですが、これは2つの特徴がしっかり見られたので、あげてみました。違っていたら教えてください。

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