No.15
2007年8月26日 
南アも少し暖かくなって来だしましたが、先日は寒波や強風が吹き荒れて、季節の変わり目を感じさせる陽気のこの頃です(日本の三寒四温や春一番といったところでしょうか)。普段は日曜日に近況報告を書いているのですが、先週は暇がなくお休みしました。と言うのは、足を伸ばして隣国レソトに行ってきたからで、今回はレソトを紹介したいと思います。第15回目は「レソトに行ってきました」です。

皆さんには馴染みがないかもしれませんが、レソトは南アの国の中にスポンとある小さな国です(地図参照下さい)。
歴史的には先住民はサン族で18世紀にソト族が北方より侵入しパソト王国を設立し、その後ズール族やケープから北上したボーア人(オランダ系移民)の攻撃を受けたものの巧みな戦術で切り抜け、現在もレソト王国として四方を南アに囲まれた状態で独立している国です。
因みに“レソト(Lesotho)”とは“ソト語を話す人”の意味で、面積は九州の7割、人口180万人の国で、首都は西側の谷あいの低地に位置するマセルです。
領土の殆どが山で、世界で最も標高が高いところに位置するところから「天空の王国」とも呼ばれているそうです(最高峰は標高3,482m)。資源には乏しく農耕と牧畜が主な産業で、人々はソト族の伝統的帽子をかぶり毛布を巻き付け馬やロバにまたがり痩せた土地を耕して質素に生活しています(とモノの本に書いてあります)。
実は工事現場の端にあるPERSEUS変電所から2時間ほど走るとレソトの首都(唯一の都市)マセルに着くので、南アに着てから一度行ってみたかったレソトに、仕事のついでに休日を利用して立ち寄って来たという訳です。

パスポートや所持品のチェックもされず、前の車列に付いて国境にある橋をゆるゆると通過すると、もうレソトの国内でした(一旦戻って一応パスポートにハンコを押してもらいました)。陸路で入るとこんなものか・・・と少し拍子抜けしたものです。自家用車以外の多くの人はミニバス(乗り合いタクシー)で南アから来て、歩いて入国審査をして、今度はレソトのミニバスに乗り換えて町に向かっているようでした。レソトは歴史的にも地理的にも南アの経済圏で、通貨「ロティ」は南アランドと等価で両替の必要もありません。

首都マセルは周辺を山に囲まれたまあまあの都市で、近代的ビルやレソトの伝統的な帽子「パソトハット」の形をした建物がありますが、市内は30分も歩くと端から端まで行く程度の大きさです。ここにあるホテルに一泊して、次の日にはそのまま帰る予定だったのですが、面白そうな所があるとの情報を得て急遽予定変更し、マセルから車で2時間ほど走ってMaleareaという山の中にある小さな村に行き、ポニートレッキングを体験しました。
アフリカ南部の地図です。レソトの位置を確認下さい。 レソトに向う途中の風景です。平原の南アフリカから景色が段々変わり山々が見えるようになってきます。
南アとレソトの国境です。入管や税関もあり人々が並んでいたのですが、前の車についていったらそのまま国境を越えてしまいました。ヨーロッパ内の国境通過の感じです。
マセルで泊ったホテルです。茅葺きの円錐形屋根の独特の形をしたものが伝統的なレソトの家です。 泊ったホテルの横にあるバーです。疲れと喉渇きで」ホテルに着くなり「どこかにビール飲めるところないか?」と聞いたらすぐ隣にありました。週末のせいもあるのか常連のオジサン達の憩いの場的な感じで、テレビのサッカーを見ながらワイワイと賑やかに楽しんでおり、ソト語を少し教えてもらいました。
ここは3000m級の山々に囲まれた小さな集落で、2日前に降った雪が残っていました。もちろん電気は来ていないし携帯電話も通じないところです。標高を聞き損なったのですが、おそらく空気の薄さの感じから2500m位だと思います(仕事で使うGPSを次回は持って行きます)。ここに宿泊施設やポニートレッキングをやっている所があると聞いて未舗装道路をほんまにこれで大丈夫かいな・・・と不安半分で走って行きましたが、とんでもない奥地に立派なロッジがあり親切なオーナーが遠路からの客を歓待してくれました。
ポニーとは言え初めての乗馬経験でしたが、時には馬とウマが合わず行く方向に意見の食い違いを生じながら2時間程山谷を越えながらの少々疲れた散歩でした。経営者に聞いたら通常4時間から1日、遠乗りではオーバーナイトトレッキングもあって、民家に泊りながらポニーに乗って3000m級の山に登るのだそうです。
山好きの昔ワンゲル青年だった小生にとって、今まで見たことのない景色で感激しました。
9月(春)になったら緑の草原と花に囲まれるはずなので、今度は泊りがけで行くつもりです。
正味2日間で1,345kmを走ったので肉体的にはかなり疲れましたが、ヨハネ付近とはまた違った美しさや人々の暮らしに触れられた旅でした。

それではまた、
永田

レソトの人達の服装は、カラフルな毛布を巻付け、パントハットと呼ばれる帽子を被っているのが普通です。Photo-9はオバサン達が洗濯?しに行くところで、順光で写真を撮ろうと言ったら並んでくれてポーズをとったのがPhoto-10です。今度来た時にプリント写真をあげると言ったものの、出会うことが出来るやら・・・?
マレマレアに行く途中の峠からの写真です。目的地は前方右下にある集落。 マレマレアにあるロッジ、
ポニートレッキングの様子です。素晴らしい眺めが広がっているのですが、何せ坂道を上り下りする揺れる馬の上から写真を撮るのは難儀で、雄大さをうまく表現できません。
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